みなさんこんばんは。
先週から年齢を問わず胃腸炎の方が多かったです。
胃腸炎が発生すると一家で大惨事になりますよね。我が家も胃腸炎を一番恐れています。
お子さんが嘔吐すると洗濯物が増えるし、大人がしんどくてお子さんが元気なのもそれはそれでしんどいし…
そこでよくお受けするのが表題のようなご質問です。
「胃腸炎だと吐ききったほうが治りが早いんですよね?」とか
「吐き気止めを使うと“菌”を溜め込んで良くないんですよね?」とか。
誤解を恐れずにYES/NOで言うと、答えはNOです。
医療においても世間一般でまことしやかに信じられている習慣がありますが、どこかで間違って伝わっていることもまた多いものです。
感染性胃腸炎に関して言えば、確かに“下痢止め”を使うのは病原体の排泄が遅れてしまう恐れがありますので、好ましくないとされています。
同様に???「たくさん吐いたほうが治りが早い」と信じられているケースが少なくありません。
確かに嘔吐することで病原体も排泄できるとは思いますが、私はデメリットが多いと考えます。
☑水分だけでなく消化液に含まれる電解質も失ってしまう。
☑嘔吐することでさらに疲弊してしまう。
☑食道の粘膜に傷が入って出血することもある。
ただし、“吐き気止め”と呼ばれる薬をもってしても、嘔吐が始めってすぐの症状が強い間は効き目が弱いです。しかし多少は和らげてくれますので、それで少しでも楽にしてあげましょう。
そして何より私が重要だと考えているのは、嘔吐が始まった時に「水分を控えること」です。
は???
脱水にならないように、「十分に水分を摂ること」が大事なのでは?と思われるかもしれません。
しかし、嘔吐が激しい間は嘔吐を助長してしまうだけです。
のどの渇きが強くなって飲みたくなっても、もう一息待ってもいいくらいかもしれません。
こちらもよくある質問なのですが、
特にお子さんで「お腹痛いって言うんですけどどうしたらいいですか?」というもの。
胃腸炎で起こる腹痛は、鎮痛剤がどちらかと言うと効きにくいです。
もどかしいですが、
☑温める
☑体位をかえる(前屈みになるような体位で腹壁の緊張がとれて、腹痛が軽快することもあるようです。)
といった程度になるでしょうか。
胃腸にとっての“仕事”は消化することなので、胃腸炎の際に無理に飲んだり食べたりするのは、足の骨折が完全に癒えないうちに無理に歩くのと同じことです。
つまり「飲んだり食べたりしない」ことが胃腸の“仕事”を減らすことになり、負担を和らげられます。もちろん脱水には注意ですが。
4月から当院では、小児看護の経験が豊富な看護師を増員します。
私が診察中にお伝えできる時間が残念ながら限られているため、ご自宅でのケアのポイントなどを看護師から追加できるような体制を考えています。
病気そのもののことだけでなく、薬の飲ませ方など、みなさんが何でも気軽に相談できる診療を目指してまいります。