みなさんこんばんは。
3月の後半は年齢を問わず胃腸炎が流行りました。
下は兵庫県の第13週(3月25日-31日)の感染症週報です。
感染性胃腸炎の中でもロタウイルスだけ別個に統計されてありますので、実際の胃腸炎は(1位+4位)の数になりますね。
よくご覧になればお分かりかと思いますが、1位と2位には大差があります。
ただ、全体として感染症はだいぶ減ってきましたね。
お子さんが生まれると、育児でてんやわんやなのに2か月もすれば予防接種の嵐が待ち構えています。
年の離れたお子さんがいらっしゃる方は、
「こんなものまで今は定期接種?」とか
「へー、こんな任意接種があるの?」とか
予防接種の内容も結構なスピードで様変わりしています。
特にお1人目だと、ただでさえどんな種類の注射があるかすらもピンとこない中、任意接種の注射をどうするかなんて考えている余裕もない!という感じかもしれません。
しかも、早速2か月目にその問題に直面することになります。
そうです。表題の“ロタウイルスワクチン”です。
しかも2種類ある???
効果の違いは???
接種するにしてもどちらのほうがいいの???
あれこれ考えているうちに接種しなかったという方も多いのではないでしょうか。
そもそもロタウイルスというのは数ある胃腸炎の原因となるものの一つに過ぎず、
ロタウイルスを予防できたからといって胃腸炎にならないわけでもありませんが、
私自身が考える予防接種のメリットを2つ挙げておきます。
☑家族への感染を防ぐ
以前もお話ししたかもしれませんが、私も妻も3兄弟の親として家族内で最も発症してほしくないのはダントツで胃腸炎です。
特に小さい子が発症すると、吐物や便の処理の問題から家族に蔓延する確率が高いです。
家族がたて続けに嘔吐・下痢になると、家族の機能が“完全麻痺”しますよね…
ロタウイルスは幼児期までにほぼ全員が一度は感染すると言われていますが、胃腸炎の発症のピークは1歳前後です。
☑重症化を防ぐ
ロタウイルスに対する特別な治療薬はなく、いわゆる「日にち薬」になります。
ほとんどのケースはしんどいなりに自然治癒しますが、脳炎/脳症など命に関わる重症例があるのも事実です。
予防接種で点滴や入院になるような重症化を約90%予防でき、結果として脳炎/脳症のような重症合併症も予防できると言われています。
重症例でいうと、2008-2015年の愛知県で29例の脳炎/脳症、8例の突然死、3例の消化管出血が報告されています。この数は決して少なくはないです。
ロタウイルスワクチンは原則として生後14週6日までに開始しないといけませんので、他の任意接種のようにゆっくり考える間がないですよね。
もしご質問等があれば、そのためだけにご来院いただいても構いません。