みなさんこんばんは。

三田市の乳幼児健診は、

4か月健診こそ臨時で担当医療機関における個別健診を行ってはいますが、

その他の集団健診は延期になったままです。

 

中でも特に1歳6か月健診が対象の方で、

「言葉の遅れ」が気になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか?

 

 

私の長男は自閉症です。

特別支援学校の4年生の学年になりました。

👇これまでも何度か話題にしましたので合わせてご覧いただければ👇

 *自閉症児の父が思う発達障がいと個性

 *絵本は子供にとって「良い」のか考えてみた

 *スマホに子守をさせないで

 

 

今回も、専門医としてではなく、あくまで自閉症児を持つ「ひとりの親」の主観として記します。

 

“素人”である親にとって、子供の発達の指標としてわかりやすいのがまさに「言葉」だと思います。

1歳半くらいで有意語(パパ、ママなど意味のある言葉)が一つも出ていないと不安になるご両親は少なくないでしょう。

 

「言葉が遅れている子」への療育と呼ばれるような対応は、様々な方法が世の中には転がっています。

我が家でもいくつかの療育法を勉強して試しました。

その結果は…(あくまで杉田家では、ですが)

どれもさっぱりうまくいってなかった気がします。

もちろん長男に関わってくださった方々の努力はもちろんですが、

大きな力を発揮したように思われたのはスマホやタブレットでした。

(息子にとってスマホやタブレットの何が良かったのかは*スマホに子守をさせないでの後半部分)

 

長男を見ていて興味深いのは、

“発達障がい”というのは“異常”なのではなく、

あくまで“ゆっくり”なだけにすぎないということです。

 

長男は最近ようやくこちらが話している内容は理解できることが増えたものの、

話す能力としては平均的な2-3歳児にも劣るレベルだと思います。

我が家の三兄弟が一緒にいると、1歳の三男が寄っていくのはきまって7歳の次男ではなく、長男のほうです。

「いないいないばあっ!」を50kgの長男と1歳の三男が並んで見ているのは滑稽なものです。

興味の対象が似ているんでしょうね?

 

つまりは、“発達障がい”というのは

“発達”という名の道を踏み外しているわけではなく、

同じ道を自分のペースで歩んでいるだけなんでしょうね。

 

マラソン大会では、速い子もいればゆっくりな子もいます。

中にはゴールできる体力がない子もいるかもしれません。

 

年齢は9歳、でも「2-3歳地点」をゆっくり走っている。

それを「9歳地点」まで慌ててダッシュさせようとしても無理な話。

「あの子みたいにしっかり手を振って」とか

「あの子みたいに足の動きをこうして」とか

途中で言われてもなかなか難しいですし。

ペースを守って一歩一歩というのが、結局の近道なんだと思います。

ですから焦ってなんちゃら教室に入れようとか、集団生活をさせようとか考えないでください。

もちろんお子さんが楽しく通えるならいいんですけど。

 

 

繰り返しますが、「これは我が家においてどうだったか」に過ぎません。

他人事のようにさらりと読み流してください。

そして同時に、“教科書”のように扱われているものや“健常”と呼ばれる発達の目安も

参考程度にとどめておいた方がよいと思います。

まわりを意識しても、我が子は何も変わりません。

(親はどうしても気になるんですけどね…)

きっと時間さえかければ同じ道を歩んでくれますから。

 

 

「我が子にとってどうなのか?」が重要

これが私のメッセージです。

 

決してスマホやタブレットをお勧めしているわけではなく、

もちろん多種多様な刺激が必要ですし、

それがたまたま「我が家では大きなきっかけ」になったというだけです。

要は“常識”にとらわれないでお子さん自身を見て、

「上の子の時は○○」とか、

「いとこは□□」とか、

「同世代の子たちは△△」とか

は気にしないでください。

 

“いいもの”とされるものを押し付けずに、

お子さんが好きなものがあれば一緒になって楽しんであげてください。

そうすると体験を共有する楽しさが生まれ、その感情が指差しや言葉を引き出してくれるかもしれません。

 

“ヨソ様”が

お受験に成功しようが、

一流企業に就職しようが、

豪邸を建てようが、

「ウチはウチ」なんです。

 

子供が楽しいこと、好きなものを誰かと共有したいと思うことが、

言語発達の一番のきっかけになると信じています。

 

 

以上、育児放棄のただの小児科医でした。