みなさんこんにちは。
今回は、みなさん我流でやっていることが多いキズの処置に関する話を取り上げてみたいと思います。
Q. お子さんが転んでひどい擦り傷ができました。さて、どうします?
大泣きしてキズを触らせてくれないので、
なんとなく絆創膏を貼って、
お子さんが落ち着いたら消毒薬を塗って絆創膏を貼り替えて、
お風呂も貼ったままで入って、なんなら濡れないように気を付けて、
“かさぶたらしきもの”ができたら絆創膏を貼るのをやめる。
そんな感じの方が多いのではないでしょうか?
キズの処置の“常識”も私が子供の頃とは大きく変わっているように思います。
処置をするのは両親であったり祖父母であったりすることが多いので、なかなか知識がアップデートされにくいですよね?
まず、最も大切なのは消毒よりも洗浄です。
水道水で全く問題ありませんので、じゃんじゃん洗ってください。
出血が多い場合も、しっかり押さえていれば止まります。
私が子供の頃は、キズができたら毎日消毒しては絆創膏を貼り、そのうちかさぶたができたら自然にはがれるまで待っておしまい。
一方、最近では「湿潤療法」と呼ばれるような、キズを密閉して潤いを保ったまま治すやり方が推奨されています。
このホームページの「質問箱」でも書きましたが、私はプライベートでキズパワーパッド™をよく使います。
注意点としましては、しっかり汚れを落とし、傷口をきれいに露出した状態で貼ることです。
Q. 包丁で指を切った。どうやって止血しますか?
包丁で切ってしまった時って、「しまった!」と思ってから体感的には1-2秒後に遅れて血が出てきますよね?
いきなり余談でしたが、なかなか血が止まらない時の対処法に、指先からの出血であれば指の根元といった「心臓に近い部分を縛る」というのが有名ですよね?
間違ってはいませんが、指の切り傷でその止血法はいまひとつです。
むしろ神経や他の組織を傷めてしまう可能性もあります。
なぜ出血するのか?当たり前のようですが、血管が損傷するからです。
つまりは、血管が損傷している場所をおさえれば出血はしません。
出血が多いときはどうしても慌ててしまいますが、どこから出血しているかを流水などで確認して、まずはその場所をピンポイントでしっかり圧迫しましょう。
「圧迫してください」とお願いしても、みなさんすぐに手を放しがちです。出血が止まったか確認したくなる気持ちは十二分に理解できますが、出血が多いときは、「最低10分」は「ポイントがずれないように」おさえっぱなしにしてください。
できれば冷却するほうが止まりやすいでしょう。
またもや話がそれますが、心臓外科の世界では止血は若手の仕事だったりします。なかなか出血が止まらない際に、その場所を30分も1時間もずーっと指を突っ込んでおさえているなんてこともよくあります。
「おさえて止まらない出血はない!」とよく“ご指導”を受けたものでした…笑
そうはいうものの、いったん止血してもすぐに再出血することもあります。縫合しないと止血が難しいケースもありますので、そういうケースはしっかりとおさえながら医療機関を受診してください。
大人も子供もうっかり怪我をしてしまうことがありますよね。
当院でもある程度のものまでは縫合も可能です。
余裕がございましたらご来院前にお電話を頂けると幸いです。