私は有名人ではないので「炎上」しないと思いますが。。。
「保育園で〇〇が流行っているので検査してもらうようにと言われて来ました」といった受診が増えた気がします。
検査は必ず患者さん「本人」にとってメリットがデメリットを上回るときのみに行われるべきだと思っています。唯一の例外が、社会的に管理が必要なケースでしょうか。上記の例はこれにあてはまるかもしれません。しかし、4-5歳のもともと元気な園児をつかまえてRSウイルスの迅速検査を行うなどというのは、100歩譲っても行き過ぎです。確かにRSウイルス感染症は乳児期早期までの児、心肺に基礎疾患を持っている児などでは怖い思いをすることもありますが、基本的には咳や鼻水を主症状とした「風邪ウイルス」の一つです。2歳くらいまでにほとんどみんな感染すると言われていますので、逆に言えば多くのお子さんが「風邪」として様子を見られて問題なく経過しているとも言えますね。
話をタイトルの答えに戻します。私は常日頃、患者さん「本人」にとってメリットが少ない、もしくはなければ検査しない方針です。「〇〇なら良い治療薬があるので検査しておく」とか「△△だとわかったところで治療法は大きく変わらないから検査しない」といった具合です。
いくつか具体例も挙げてみます。
*インフルエンザであれば早期の抗ウイルス薬で有熱期間を短縮できるかもしれないから検査しておく。
*溶連菌であれば抗生剤がよく効くので検査しておく。
*アデノウイルスだとわかれば高熱が続いても抗生剤なしで様子を見ても良さそうだから検査しておく。
*ノロウイルスやロタウイルスだとわかったところで、特別な治療薬があるわけでもなく、脱水に注意するというのが主なポイントであることには変わりないので検査しない。
*レントゲンを撮って仮に肺炎の影があったとしても、呼吸状態が悪いわけでなければ大きくは治療法も変わらないのでまだ撮らない。
(もちろん全例「検査する」もしくは「検査しない」と言っているわけではなく、ケースバイケースで考えているからこそ医者がいる意味がある、ということです。)
本音を言えば、ウイルスの検査もして血液検査もしてレントゲンも撮って、ありとあらゆる検査を全員にやれば診断はかなり簡単になるでしょうね(笑)。でもそれでは医師免許は不要です。
私は何らかの検査をするときは、その必要性を一言お伝えしするようにしています。特に子供さんにおいては大人以上に精神的・肉体的苦痛を伴いますので、できれば検査は最小限にしたいと思っています。もし説明不足なことがあれば、「その検査は必要なのか?」「あの検査は要らないのか?」といったことを遠慮なくおっしゃってください。必ず何らかの答えをご用意できるはずですので。