メリークリスマス!

私には7歳と4歳の息子がいます。今年の冬は二人ともまだ元気です。ついでに妻もいるんですが、「旦那さんが小児科医でいいね」と言われることがあるようです。

 

家族に小児科医がいると本当にいいのか?

 

確かに勤務先から家族用に薬を処方して持ち帰ったりということはしますが、患者として受付して診療録を残して自己負担をするというプロセスに変わりはありません。

「旦那さんが小児科医でいいね」の場合の多くは、自宅が病院と同等の機能を持つことを想像されているのかもしれません。しかし、私の思う「いいね」は病院に行かなくてもいいことが判断できることです。

みなさんが病院を受診される場合というのは、少なくともその症状に何らかの不安を抱くからだと思います。「こんなに咳がひどくて大丈夫なのか?」「こんなに熱が高くて大丈夫なのか?」

家族に小児科医がいても、急に薬や点滴を用意したりはできませんが、「大丈夫かどうか」が判断できます。

「これは明日まで待っても大丈夫」「これは夜中でも受診しないとまずい」という感覚や知識をお伝えすること、それが私がクリニックという最も身近な医師として目指すもののひとつです。

 

脱線します。

「これは風邪ですか?」

実はまじめに考えると非常に難しい質問です。

「風邪」というのは非常に曖昧でかつ便利な単語です。一般的にはウイルス性上気道炎(ないしはウイルス性胃腸炎を胃腸風邪として含むことも)を指すと思います。

*ウイルスや細菌の話は、「抗生剤」についてをご参照ください。

このウイルス上気道炎=風邪は、急に重篤な病態に陥ることは考えにくく、かつ数日で軽快するものです。「風邪として経過を見てみましょう」とお話ししているときは、原因がナニモノかわかっているわけではないが、きっと数日で落ち着くはずだから咳止めや解熱剤でしばらく様子をみましょう、というニュアンスを含んでいます。

 

話を戻します。

家族に小児科医がいるメリットがあるとすると、「風邪ですね」が判断できることだと思います。

 

「風邪ですね」は便利なのですが、実は「大丈夫なはずだけど本当の答えは数日経ってみないとわかりません」という後ろめたさが混在しているんです。ですから診察ではなるべく、「熱冷ましだけで様子を見て大丈夫なはずですが、こうなったら風邪としては少し変なのでまたお越しください」というようなご説明を心掛けています。よほど経過が予想できる時以外は処方日数を4日程度にすることが多いのもそういう理由です。