みなさんこんばんは。
くどいようですが、私は西宮から車通勤しています。
峠道は事故渋滞にはまると全く動けなくなり、遅刻しないかヒヤヒヤものです。
ようやく動き始めても事故後のガラスの破片を避けられなかったりすると、クリニックに到着するまでパンクしないかなと、これまたヒヤヒヤします。
お子さんが「足が痛い」と言うより、「胸が痛い」と言う方が心配になりますよね?
私は勤務医時代に、小児心臓外来を担当させていただいたこともありますが、「胸痛」の紹介が非常に多かったです。
しかしながらそうやって受診されるお子さんが、心臓の病気のような“大きな”病気であることはむしろ少ないんですよね。
では、なぜそんなにも「胸が痛い」お子さんがいるんでしょうか?
今回は↓の論じられている内容をご紹介しながら、「子供の胸痛」について考えてみたいと思います。
胸痛というと、どうしても心筋梗塞などの突然死につながるような“大人の胸痛”のイメージが強いため、我が子のこととなると特に不安は大きいですよね。
この論文では、8136人の子供の胸痛において、心臓が原因であった割合は0.6-1%だったとされています。
一方で、100人の思春期の子供の40%が胸痛で学校を休み、44%が「自分が心臓発作だ」と心配していたというデータも示されています。
胸が痛いとなると、親だけでなく子供自身も不安が強いんですね。
↓の表(論文中Table1・改)は、子供の胸痛の主な原因とその割合です。
0.6-1%しかない心臓の病気を見落としてはならないのは言うまでもない大前提なのですが、
むしろここではあえて、こんなこともあるんだなというような「緊急性の低い胸痛」に着目してみようと思います。
私自身の臨床経験でもそうなのですが、子供においては緊急性が高いことは少なく、中でも「原因がはっきりしない」か「筋骨格系」の痛みの可能性であることが大半です。
「緊急性がないなんて、詳しい検査もしないでどうして言えるんだ!」というご意見もあるかもしれません。
でも実は問診だけでもある程度の除外が可能ですし、心臓に関して言えば心臓超音波検査やホルター心電図といった検査は当院でも可能です。
☑咳がひどいわけでもない
☑食欲は全く問題ない
☑痛みが短時間で完全に消えて元気になる
なんていう場合は、筋骨格系の問題かな?と私は考えます。
個別の疾患名で言いますと、上記の「肋軟骨炎」「ティーツェ症候群」「前胸部キャッチ症候群」などがあります。
☑いずれも原因がはっきりしないことが多く
☑レントゲンなどの検査で診断がつきにくく
☑経過観察で問題ないことが多い
という特徴があります。
命にかかわるような病気以外のほうが頻度が高いのは嬉しいことですが、「大丈夫ですよ」と言われても不安になるのが胸痛ですよね。
こちらの頭の中では、ちゃんと緊急性の高い病気らしくないことを検討した上で、「大丈夫ですよ」とお話ししますのでご安心ください。
よくよく聞いたら、車のガラスの破片を踏みつけたところでパンクすることはあまりないようですね。
でも途中でパンクしたら…と不安になってしまいます。
胸痛も悩まずに遠慮なく受診してくださいね。