みなさんこんばんは。

 

早々にやって来た今年の梅雨ですが、これまた早々に去っていくかと思いきや、

まだまだ最後の力を振り絞るかのようにすっきりしない天気が続きますね…

例年4月から5月にかけては、入園したてのお子さんを中心に風邪が多いものです。

通常はせいぜい梅雨の時期には患者さんの数も落ち着いており、

小児科医にとっては1年の中でもゆっくりできる季節なんですが、

6月も終わろうとしている今になってようやく熱を出す子が少しだけ減った感じがあります。

 

以前の記事(2021年3月19日 RSウイルスが増加傾向にあります)でも触れましたが、

昨年から今年にかけて激減していた感染症の一つに、RSウイルス感染症があります。

👇の赤線が今シーズンです。

 

RSV2020.6

 

典型的には寒い季節に流行するRSウイルスですが、今年は4月から増加傾向にあります。

👇は最近の診察室でよくある会話です。

さてここで問題です!「会話の中で1点だけ非常に違和感があります。それは何でしょうか?」

 

生来健康な4歳男児の熱と咳

母「幼稚園でお昼寝から起きたら熱があるって呼び出されたんです。」

すぎた「熱以外の症状はどうですか?」

母「咳と鼻水は数日前からありましたけど、元気だったんで今日も幼稚園に行ってたんです。」

すぎた「幼稚園では何か流行ってるんですか?」

母「RSウイルスの子が多いから検査を受けてきてくださいって言われました。」

 

一旦ここでRSウイルス感染症について簡単におさらいしましょう。

☑どんなウイルス?

誤解を恐れずに言うなら、咳や鼻水を主症状とするただの風邪ウイルスです。

2歳までにほぼ全員が一度は感染したことがあり、人生で何度も感染するほど珍しくないウイルスです。

☑なぜ”怖い”もの扱いされるの?

乳幼児や重篤な基礎疾患を持つ児が、まれに重症化するから。

☑どうやったらRSウイルスってわかるの?

鼻をこちょこちょ?ぐりぐり?して採取した鼻水で迅速検査が可能です。

☑治療法は?

基本的には対症療法です。解熱剤や咳・鼻水の薬などで自然治癒を待ちます。

ただし、重症化した場合は酸素投与や人工呼吸、ステロイド剤の点滴などが必要になることもあります。

 

はい、では上の問題に戻りましょう。

違和感、それは…

4歳児にRSウイルスの検査を要求されていることです。

よほど特殊なケースでなければ元気な4歳がRSウイルスで重症化することはありませんし、

厳格な登園基準もありません。

つまり検査は、

本人に不快な思いさせ、

医療財源を浪費するだけです。

もし、検査する意義があるとすれば、

熱が長引いたときにRSウイルスだと確定すれば、開き直って治るのを待つだけで済む、

ということでしょうか。

ところでみなさん、何を隠そう実はRSウイルスの検査は1歳未満しか保険が通らないんです!

つまり、1歳からは「僕のおごり」です笑

 

コロナもそうですが、RSも正しく恐れましょうね!

 

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P.S. 6月1日に出版した本ですが、お陰様でご好評頂いております。

基本的にはこれまでのブログ記事をまとめたものですが、それ以外にも内容を追加しています。

「病気のハンドブック」としていかがでしょうか?

小児科ドクター「かいじゅう先生」のワンポイントアドバイス

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