とうとう当院のあるゆりのき台にもインフルエンザの波が押し寄せてきましたが、冬の流行と言えばほかに、、、そう胃腸炎ですね。この1-2週間で嘔吐や下痢などの患者さんが増えました。

 

よくある、ごく平均的な経過をお示しします。

 

「1日ずっと元気だったんですけど、突然ゲボっと戻したんです。食べ過ぎたのかな?なんて思ってたんですが、たちまち吐き続けるようになって。。。脱水にならないように水分を与えてたんですが、飲むたびに吐くんです。」

 

胃腸炎の初期にはお腹の動きが弱いことが多いです。「何も飲んでないのに胃液みたいなのを吐き続けてるんです!」ということもよくあります。「おなか」には食べ物以外にも消化液などが沢山停滞している状態になっています。

「飲んだら吐く」⇔「飲まなければ脱水」のジレンマに悩まされますが、嘔吐が強いのはおよそ半日から1日です。大抵のケースは、この時期を耐え忍べば大きな「山」を越えたことになります。逆に、1日以上嘔吐が続くようなら点滴を考慮することが多いです。

では、吐いている間は指をくわえて苦しむわが子を見ているだけなのか?息子たちが病気になっても大して心配しない私でも、嘔吐はかわいそうですね(笑)

 

まずは、吐き気止めを適宜使うことです。激しい嘔吐の際には劇的には効果が得られないかもしれませんが、これで少し眠れたりすると思います。口から飲んだら吐いてしまうので、坐薬で処方することが多いです。

 

続いて、水分の「摂り方」の工夫です。下に動画をリンクします。「少量ずつ」「時間をかけて」飲ませてあげてください。

https://www.youtube.com/watch?v=YkHJERTk9pU&feature=youtu.be

 

では、一体何を飲ませたらよいのか?

「この子お茶か水しか飲まないんです」というのもよくあります。飲めるだけましなので、とりあえず飲めるものを飲ませてあげたらいいと思っています。

「おっぱいしか飲まないんです」というケースでもおっぱいで十分です。

ただ、欲を言えば塩分や糖分も摂れたら理想的ですね。有名な商品に「OS-1」がありますね。かく言う私も、「しんどい時にあえてあんなマズイもの飲ませなくても。。。」と思っていましたが、最近塩っぽさもすこし減り、ゼリータイプのものだと飲んでくれるという小さなお子さんも多いです。OS-1は経口補水療法と言って点滴に肩を並べるような立派な治療の一役を担うためのものでもあります。「病者用食品」という位置づけで、一般的にはコンビニやスーパーには置いていません。当院の周辺では私の知る限り購入できる場所も少ないので、待合に大塚製薬さんの自動販売機を置いてもらいました。

 

「水分は摂れてるんですがごはんを食べないんです」

食事は水分摂取で吐かなくなってからで十分です。水分として糖分や塩分が摂取できれば、いわゆる食事は焦る必要ありません。

 

「整腸剤を飲ませたら吐くんです」

一緒に整腸剤を処方されることも多いですよね。でも整腸剤は嘔吐がおさまってからで十分だと思います。薬飲んで吐いているって、治しているのか苦しめているのかわかりませんよね(笑)。整腸剤は下痢で失う腸内細菌を補うという役割です。下痢がなければなおさら内服を急ぐ必要はありません。

 

長くなりました。