みなさんこんばんは。
先週日曜日に負傷したケガもようやく癒えてきました。当院にお越しいただいた方や三田市の1歳半健診、9か月健診でお会いした方は驚かせてすみませんでした。
「先生殴られたん?」とダイレクトに聞かれる方、「先生も転んだみたいやね」とお子さんと笑い話にしてくださる方、チラチラ目線が行ってるのに気をつかってあえて触れないでおられる方…
反応が色々でこちらも面白かったです。笑
ちなみに真相は、ラグビーの試合で左眼の上を切って、目の周りがパンダになっていたんです。まあラグビーではよくあることなんですが、お子さんには刺激が強すぎますね…
ところで、ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンもしくは子宮頸がん予防ワクチンと呼ばれることもありますが、このワクチンは2010年11月に公費助成が始まり、2013年4月には定期接種になりました。しかしながら、接種後に体の痛みなどを訴える人が相次ぎ、「積極的な勧奨」は現在も再開されておりません。
先日当サイトのお知らせでもご案内いたしましたが、当院ではHPVワクチンの接種を再開しております。今回はみなさん各々でHPVワクチンについてお考えいただくちょっとした材料になればと思っています。
ヒトパピローマウイルス(HPV)とは?
HPVは珍しいものではなく、性交渉の経験のある女性の80%以上が一生に一度は感染していると言われています。ただし、感染しても90%の人は2年以内に自分の免疫力で体内から排除されます。しかし残り10%が子宮頸がんの原因となる可能性があります。子宮頸がんの主な原因は、このHPVの長期にわたる感染とされています。
子宮頸がんとは?
HPVが長期にわたり感染することで発生する子宮頸がんの患者数は、我が国で年間約1万人です。年代別の患者数は20代後半から増加し、40代以降は概ね横ばいです。特に最近では若い年齢層(20-39歳)で増えています。この子宮頸がんで亡くなる方は年間約2700人です。
HPVワクチンの効果と意義
このワクチンはまだ新しいワクチンなので、子宮頸がんそのものを予防する効果は現段階では証明されておりませんが、持続的なHPVの感染や異形成(がんになる過程の異常)を予防する効果は確認されており、これらに引き続いて起こる子宮頸がんを予防する効果が期待されています。
HPVワクチンの問題点
他のワクチン同様に副反応が出ることがあります。主な症状には痛みや腫れ、赤みなどですが、アナフィラキシー(重いアレルギー)、ギランバレー症候群(手足の力が入りにくいなど末梢神経の症状)、急性散在性脳脊髄炎(脳神経の疾患)といった重篤な副反応の報告もあります。
HPVワクチンの今後
名古屋より、報告されている副反応とHPVワクチン接種との因果関係はないという論文が発表されましたが、一方で因果関係があろうとなかろうと接種後に起きている症状の報告は確かに他のワクチンより多いというのも事実のようです。
日本大学産婦人科の川名敬先生が都内の女子高で下記のような授業をされたそうです。
「重篤な有害事象が10万人当たり52人。つまり2000人に1人。これは10学年に1人。一方で生涯で子宮頸がんになるリスクは76人に1人。これは1学年に3人。この数字を比較してどちらを選択しますか?あとはみなさんが決めてください。」
自分ならどうするか?
私は常日頃、患者さんへの説明において最終決断を完全に丸投げしないように心がけています。医療においては、どちらが正しいというわけでもないという選択に迫られることもしばしばで、その際には「私なら、私の家族ならこうすると思います」とお話しすることがあります。
当院でワクチン接種を開始しましたのは、「私の家族なら接種するだろうな」と考えたからです。
まだまだ議論の多いところですので、みなさんもメリット・デメリットをよくお考えの上、もしご希望であればまずは三田市の保健センターにお問い合わせください。